松田先生 温めても冷えが良くならないのはなぜ?

薬剤師 松田 惇 先生 18

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薬剤師のお仕事をしていた時の経験から漢方の世界に入り、アロマインストラクターの資格も持っている松田先生。色々な方へのカウンセリングを通じて体質を改善して根本から健康にする為の色々な方法を習得。食と香りをテーマに体質に合ったライフスタイル=「養生」という独自のメソッドで多くの人の健康サポートをしている松田先生に、ダイエットの根本である『健康』等についてのアドバイスをいただきます。

温めても冷えが良くならないのはなぜ?

11月7日は「立冬」

こんにちは!薬剤師の松田です。
最近は涼しいを通り越して肌寒い日が増えてきました。
それもそのはず。11月7日は「立冬」

暦の上では冬が始まるのがこの日です。
そうすると気になってくるのが「冷え」ですよね!

冷え対策というと温めるというイメージが強いと思いますが、漢方の視点から見るとそれだけでは不十分な場合が多いんです。

なので今回は!
色々試しても冷えが良くならない。。。
着込んでも温かいものを食べてもあまり良くならない。。。

そんな方に向けて、漢方からみる「冷え」の仕組みについてお伝えします!

寒さは冷えの原因か?

冬になって寒くなると、当たり前ですが体が冷えやすくなります。
寒さによって血管が収縮して血行が悪くなり、末端から体は冷えていきます。

では寒さが冷えの原因か?と言うと必ずしもそうとは限りません。

寒がりさんと半袖短パン

冬

「冬になると寒くて冷えて辛い!」と言う人と
「冬になっても寒さなんてへっちゃら!」と言う人がいます。

かたやどれだけ着込んでも、あったかいものを飲んだり食べたりしても冷えが良くならない。。。
かたや冬でも半袖短パン!むしろ暑いくらいだわ!(極端ですが)

同じ冬の時期の、同じ気温の中にいても人によってこれだけ違います。

この違いは何でしょうか?
体質が違うからでしょ?と言ってしまえば確かにその通りなんですが、実はこれは
「冷えの原因はかならずしも寒さだけではない」という立派な証拠です。
もし寒さだけが「冷え」の原因であれば、冬になれば誰しも冷えると思います。
でも冬に半袖短パンの人は冷えてはないはず。冷えてたらさすがに寒くて、上着を着ると思います。

もちろん、寒さは冷えの大きな原因です。寒さによって体は冷やされ、冷えによる症状は出やすくなります。
ですが冬の寒さ以前に、体が冷えてしまうもっと根本的な原因がある場合がほとんどです。

川の水が凍るのは?

川

少し例を挙げてお伝えします。

川を流れる水をイメージしてください。
川の流れがスムーズであれば、寒い日でも川の水が凍ることはありません。

ですが、何かの理由で川の流れがせき止められ流れが止まって、池のように溜まってしまうと川は凍ってしまいます。
また、川の流れが少なくなって、チョロチョロ流れている状態になっても同じように川は凍ってしまいますよね。
そして凍ったところはさらに水の流れを止め、さらに凍っていきます。

漢方で捉える「冷え性」はこれに似ています。
体を巡るエネルギー(気といいます)や血液の巡りが悪かったり、量が少なかったりすると その部分で冷えが起こります。
冷えると気や血の巡りが悪くなるので更なる冷えの原因になります。


冬でも半袖短パンの人は気や血が充実していて、巡りがいい人です。場合によっては気や血が多くなり過ぎて、巡りすぎているのかも知れません。(それはそれでまた別の問題があります)
増水した川のように濁流が流れていれば凍るヒマはなさそうですよね。

「冷え対策=温める」だけではない

ショウガ

冷えないようにするにはエネルギー(気)や血を充実させて、しっかり巡るようにすればいいのです。

冷え対策というと温めることをまず最初に思いつくのではないでしょうか?
温かい服を着る、温まるものを食べる。
これはもちろん大事です。
凍った川は温めないと流れません。

ですがいくら温めても
川の流れがせき止められたまま。
少ない量がチョロチョロ流れたまま。
というのではまたすぐに凍ってしまいます。

着込んでも着込んでも寒い!ショウガやシナモン等の温め食材を食べても全然温まらない!
そんな方はちょうどこんな状態なんです。

滞っているのか?不足しているのか?

パクチー

せき止められて流れない、つまり気や血の滞りがある方は、冷え以外に肩こりやイライラ感、肌荒れ、生理痛が重いなどの傾向があります。

この場合は気や血の巡りを良くしましょう。
軽い運動やストレッチなどで体を動かして気分転換を図り、ストレスを溜めないようにしましょう。


またセロリやパクチー、バジルなど香りの強い野菜は気を巡らせるのでオススメです。

少ない量がチョロチョロ流れている、つまり気や血が不足している方は、冷え以外に、疲れやすい、風邪をひきやすい、肌が乾燥しやすい、胃腸が弱いなどの傾向があります。
この場合は不足を補う必要があります。

十分な睡眠を取って体を休めることが先決です。
あまり激しい運動は気や血を消耗してかえって冷えやすくなってしまうので、注意が必要です。
また温かく消化しやすいものを食べて栄養をつけましょう。

今回は大枠でのタイプ分けと対策をお伝えしました。
次回以降はより細かい見方と具体的な対策についてお話していきます。

プロフィール

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薬剤師

松田 惇まつだ じゅん

AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。 薬科大学卒業後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局にて漢方カウンセリングに携わる。その経験の中で、病気を予防し健康に過ごすには、自分の体質を知ること、そして心身ともに自然と調和した生活を送ることが重要であると気づく。また、仕事のストレスで心のバランスを崩した時にアロマオイルに救われ、植物の香りの力の素晴らしさを実感する。それをきっかけにアロマテラピーを独学で学び始め、アロマテラピーインストラクターを取得。
現在は食と香りをテーマに体質に合ったライフスタイル=「養生」を提案するセミナーやカウンセリングを行っている。ふだん食べているもので身体は作られ、豊かな食文化は心と感性を育むという想いから、食育を通して健やかで笑顔あふれる食卓を増やしていくべく日々活動中。
ブログ(http://elmtable.hatenablog.com/ )