薬剤師 松田 惇 先生 14
薬剤師のお仕事をしていた時の経験から漢方の世界に入り、アロマインストラクターの資格も持っている松田先生。色々な方へのカウンセリングを通じて体質を改善して根本から健康にする為の色々な方法を習得。食と香りをテーマに体質に合ったライフスタイル=「養生」という独自のメソッドで多くの人の健康サポートをしている松田先生に、ダイエットの根本である『健康』等についてのアドバイスをいただきます。
むくみとダイエットの意外な関係
何故むくんでしまうの?
まだまだ梅雨の明けきらないこの時期、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
雨が続いて、むしむしと湿気っぽい...
そんな日はなんだか体が重たく感じたり、むくみやすくなったりしやすいものです。
体は天候や季節の影響を強く受けるので、雨の日や湿度が高い日は体の中の水も巡りにくくなりがちになってしまいます。
今回はそんなカラダに水が溜まりやすい、梅雨の時期は苦手!という方に向けてのお話です。
水毒ってなに?
体の実に60%が水で出来ていると言われています。
カラダの中の水は血液やリンパ液として留まる事なく絶えず体の中を循環し、栄養素や老廃物を運んだり、細胞を潤しています。
この体にとってはなくてはならない水ですが、必要以上に水分を摂りすぎたり、身体からうまく排泄できずに、過剰になってしまうと、体に溜まってしまいます。
漢方ではこの状態を「水毒」と言います。
水毒とは読んで字のごとく水が毒になってしまっている状態。
体の中の余計な水分は循環や代謝を妨げて、むくみや頭痛、鼻水やめまいなど様々な不調の原因になってしまいます。
そしてダイエットにとってもあまり好ましくありません。
巡りが悪くなると代謝が下がってしまいますので、脂肪を燃焼しづらくなってしまいますし、むくみがあると見た目にも太くなってしまいます。
下半身を中心にむくみやすく、太りやすい。
そんな方はまず水分代謝を上げることを考えてみましょう。
水をたくさん飲めば健康的!?
最近は出来るだけ多く水を飲んだ方が健康にいい。と言われることがあります。
確かにたくさん飲んでたくさん出せば、巡りが良くて体に良さそうです。
ですが。これは「たくさん出せる」ということが前提にある考え方です。
消化器系や泌尿器系の働きが強く、体の水を尿や便からしっかり出せる人にとっては良いかもしれませんが、こうした内臓の働きが弱っている人の場合は、たくさん飲んだ水を捌ききれずに体に溜め込んでしまいます。
これが水毒となって不調を招いてしまいます。
特に高温多湿な気候の日本に住んでいる私たちは、この水をしっかり出すのが苦手な体質の方が多いです。
それは前述の通り、気候が湿気が多くジメジメしていると、それに体は呼応するように、水分の巡りが悪くなってしまいがちだからです。
暑くカラカラした日には水を消耗しますので、たくさん水を飲みたくなりますし、一方で寒い日や、雨が降ってジトジトしている時はあまり水を欲しなくなりますよね。
体が必要な水分は体が教えてくれます。飲みたくない時に無理して飲もうとせずに、必要な時に少しずつ、を心がけましょう。
水分の巡りを助ける食材
レタス、きゅうり、ズッキーニなどは体の水分を出しやすくする働きがある食材です。
しかもこれらの食材は体を冷ますものが多いので、蒸し暑いこの季節にはうってつけです。
ただ、冷ます食材に偏りすぎると夏でも体を冷やしてしまうので、生姜やネギなど温める食材を適度に組み合わせるようにしてくださいね。
また、水分を巡らせるには消化器と泌尿器の機能がしっかり働いていることが大事です。
漢方の考え方ではそれぞれ「脾」と「腎」の働きを助けることがポイントになります。
脾は消化器系全般を表していて、甘い味のものが働きを助けてくれます。
お米、芋などの自然な甘味を持つものが良く、特にオススメなのは豆類。
小豆や大豆、緑豆などは脾の働きを助けるだけでなく、水分代謝を助ける働きもあります。
(※脾と甘味についてはこちら(Be Diet内松田先生コラム)
)
腎はおおまかに言うと泌尿器や生殖器などの働きを表していて、鹹味(かんみ)つまり塩辛い味が働きを助けてくれます。
自然塩の適度な塩分をとる事で、腎の働きを助けて、水分の排泄を促します。
※腎と鹹味についてはこちら
(Be Diet内 松田先生コラム)
)
【まとめ】
ダイエットというと、運動や食事で脂肪を減らすことに意識が向くと思います。
ですが、体の水分の巡りが悪くなってしまっている場合、肝心の脂肪を減らす事が難しくなってしまいます。
体がむくみやすい。雨の日に体が重だるい。
これらは体に余計な水分が溜まって巡りが悪くなっているサイン。
これらのサインをちゃんと受け取って、水との付き合い方をもう一度見直してみませんか?
プロフィール
薬剤師
松田 惇まつだ じゅん
AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。
薬科大学卒業後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局にて漢方カウンセリングに携わる。その経験の中で、病気を予防し健康に過ごすには、自分の体質を知ること、そして心身ともに自然と調和した生活を送ることが重要であると気づく。また、仕事のストレスで心のバランスを崩した時にアロマオイルに救われ、植物の香りの力の素晴らしさを実感する。それをきっかけにアロマテラピーを独学で学び始め、アロマテラピーインストラクターを取得。
現在は食と香りをテーマに体質に合ったライフスタイル=「養生」を提案するセミナーやカウンセリングを行っている。ふだん食べているもので身体は作られ、豊かな食文化は心と感性を育むという想いから、食育を通して健やかで笑顔あふれる食卓を増やしていくべく日々活動中。
ブログ(http://ameblo.jp/tabelkaor)