松田先生 五味調和でバランスの良い食事を⑥

薬剤師 松田 惇 先生 12

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薬剤師のお仕事をしていた時の経験から漢方の世界に入り、アロマインストラクターの資格も持っている松田先生。色々な方へのカウンセリングを通じて体質を改善して根本から健康にする為の色々な方法を習得。食と香りをテーマに体質に合ったライフスタイル=「養生」という独自のメソッドで多くの人の健康サポートをしている松田先生に、ダイエットの根本である『健康』等についてのアドバイスをいただきます。

五味調和でバランスの良い食事を⑥〜鹹味(かんみ)〜

五味調和最終回

こんにちは!薬剤師の松田です。
お読み頂きありがとうございます。

これまで五味調和をテーマに五味それぞれの特徴と取り入れ方についてお話してきました。 今回はいよいよ最終回。鹹味(かんみ)についてです。

鹹味ってなに?

塩

「鹹味」という言葉を初めて聞く方も多いと思います。
これで「かんみ」と読み、塩辛い味を指す言葉です。

ただこの鹹味と言った場合、ただ単に塩味、しょっぱい味をさすわけではありません。
海水をなめた時の味を思い出してみてください。
しょっぱいだけではない、なんだか深みのある味がすると思います。

海水の成分は塩化ナトリウム、いわゆる食塩がほとんどを占めていますが、他にもマグネシウムやカリウムをはじめ数多くのミネラルが微量に含まれています。
これら微量なミネラルによって、海水はただしょっぱいだけではない、えぐみとまろみを含むような奥深い味を持っています。

「鹹い」と書いて「しおからい」と読みます。昔は塩といえば海からとった自然塩しかなかったので、「鹹味」という言葉は海水や海水から取った自然塩の味のことを表していました。
現代でよく用いられる食塩とは塩化ナトリウムを精製したものです。そのため私たちの思う「塩味」と、昔の人にとっての鹹味とは少しニュアンスが異なるわけです。

減塩は本当に健康的?

塩分のとり過ぎが高血圧などの生活習慣病の原因になるとして、減塩が推奨されています。
「減塩=健康的」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?

ですが、過剰なまでの減塩は考えもの。
鹹味は五臓で言うところの腎と関係が深く、適度な鹹味が腎(じん)の働きを助けるとされています。
東洋医学において「腎」とは腎臓の働きである、水分を身体から出す働きの他に、生命エネルギーを蓄える所とも言われています。

必要以上に減塩をしてしまうと腎を助ける事が出来ず、むくみやすくなったり、下半身が冷えなったりしてしまいます。

自然塩のススメ

鹹味の不足でむくみやすくなるの?
塩分の摂り過ぎで身体がむくむのでは?と思うかもしれません。
実は鹹味を適度に摂る事で腎を助ける事が出来るのですが、鹹味を摂りすぎると今度は腎に負担になってしまいます。

これは塩味として使われるのが多くの場合食塩である事が大きな原因です。
食塩は精製されているために身体への働きが鋭く、ちょっとの取り過ぎが腎の負担につながってしまいます。

栄養学的にも海水からとった自然塩はこの塩化ナトリウム以外にも様々なミネラルが豊富に含まれています。
自然塩に豊富に含まれるカリウムは水分の代謝を良くしてくれますし、マグネシウムやカルシウムなど、不足しやすいミネラル分を補給する事も出来るわけです。
食塩だとナトリウムに偏ってしまうので、腎臓の負担になり、むくみの原因になってしまいます。

つまり食塩を減らす減塩は良いですが、鹹味が不足しないように自然塩を適度に摂る事が、五味調和の上でも、栄養学的にもバランスの良い食事には欠かせません。

鹹味を持つ食材

刺身

自然塩で鹹味を調える事も大事ですが、食材の中にも鹹味をもち腎を助けてくれる食材があります。
海産物の多くは鹹味をもつ食材です。
タコ、イカ、アサリ・ハマグリなどの貝類、わかめ・昆布などの海藻類などはその代表例です。

特に身体が疲れやすい、下半身がむくみやすいなど気になる方は腎の力が不足している状態。これらの食材を上手に取り入れてみてください。
ただ、海産物は身体を冷やす食材が多いので注意が必要です。
特に刺身など生で食べる場合は身体を冷やしやすく、消化されにくいので注意が必要です。
刺身の付け合わせとしてわさびや生姜、シソなどの身体を温めて消化を促す薬味が使われるのはこうした意味があります。
できれば煮物や汁物など、火を通して温かくして食べるのがオススメです。

【まとめ】
ダイエットをされている方の中にも、むくみやすいので塩分は控えるようにしています。という方も多いと思います。
ですがそんなむくみやすい方こそ、自然塩や海の幸から鹹味を取る事はとても大切です。
程良い鹹味を取り入れて五味調和を心掛けてみてください。

プロフィール

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薬剤師

松田 惇まつだ じゅん

AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。 薬科大学卒業後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局にて漢方カウンセリングに携わる。その経験の中で、病気を予防し健康に過ごすには、自分の体質を知ること、そして心身ともに自然と調和した生活を送ることが重要であると気づく。また、仕事のストレスで心のバランスを崩した時にアロマオイルに救われ、植物の香りの力の素晴らしさを実感する。それをきっかけにアロマテラピーを独学で学び始め、アロマテラピーインストラクターを取得。
現在は食と香りをテーマに体質に合ったライフスタイル=「養生」を提案するセミナーやカウンセリングを行っている。ふだん食べているもので身体は作られ、豊かな食文化は心と感性を育むという想いから、食育を通して健やかで笑顔あふれる食卓を増やしていくべく日々活動中。
ブログ(http://ameblo.jp/tabelkaor)